浦和周辺:塾で成績が伸びない中学生専門の家庭教師、塚田です。

近年、タブレット学習が注目を浴びています。
学校の授業でも、タブレットが使われていたり、塾でもタブレットを導入した「自立学習塾」が増加していたりと、導入される場面が増えているようです。
家庭教師で伺う保護者の方からも、
「タブレットを使った学習塾に、週1回通わせようかと考えているのですがどうでしょう?
「小学生の下の子に、自宅でのタブレット学習をやらせてみようと思うのですが、オススメのものはありますか?」

と相談されることがあります。

そこで今回は、タブレット学習についてお話していきます。

タブレット学習の特徴

タブレット学習の2つの機能

タブレット学習の特徴は主に2つあります。
1つ目は「動画を使った授業」です。

タブレット学習で使われている授業は、予備校や有名な進学塾でトップ講師をしている方々が行っているため、クオリティーがすごく高いです。
今までは予備校に行き、高い授業料を払わなければみることができなかったような授業が、月1000円程で視聴することができるのはかなり革新的なことだと思います。

私自身、生徒に教えずらいと感じたところについては、タブレットの授業を見て参考にしている箇所もあります。
大学受験の予備校では、「一流講師の映像授業が見放題」というのを売りにしていた会社もあり、その映像授業を受けることを目的にして予備校に通っていた友達もいました。
それが、今では家にいながら数十分の1の値段で視聴することができるのです。
(ちなみに、月額サービスでなくても「youtube」などの無料で見ることのできる授業動画もあり、こちらも質の高い授業が多く存在しています。)

2つ目の特徴は、「問題出題機能」です。
問題出題機能とは、タブレットを使って学習した内容をソフトが分析を行い、「今、その子に一番適した問題」を選んで出題してくれる機能です。
例えば、数学の文章題を間違えた場合には、間違えた問題の類題や、間違えた問題の少し難易度を下げて基本を確認する問題、その文章題に必要な計算問題などを集めて出題してくれるといったものです。

これにより、効率よく問題演習を行うことができますし、他の参考書などから探してきて、似たような問題を解く必要がなくなるのです。

この「質の高い動画授業」と「データ分析による最適な問題の出題機能」がタブレット学習の大きなメリットだと私は考えています。

他にも「勉強のスケジュールを作ってくれる機能」「タブレット学習を行った分だけポイントがたまる機能」「勉強時間や勉強内容を記録してくれる機能」などもあるのですが、このあたりはあまり大きなメリットにはならないのかな?と思います。
勉強のスケジュールに関しては、人それぞれの予定や勉強の進め方があるため、ひとりひとりに合わせた最適なスケジュールを組むことは難しいのです。
また、その他の機能についても「やる気を少しでも上げるための機能」となっているため、勉強効率を上げるものにはなっていません。
「ポイントが貯まる機能」や「学習の記録」は、人によっては一定の効果のあるものなのかなと感じています。

タブレット学習についてネットで調べると、、、

インターネットで調べると、アフィリエイトのサイトが多く、タブレット学習のでデメリットよりも、メリットを感じやすように説明されているものばかりです。

もし、タブレット学習のメリットについてもっと詳しく知りたい方は、この記事ではなくそういったサイトを参考にしていただければと思います。

そして、次回からは、アフィリエイトのサイトなどでは触れられていない、
「見落としがちなデメリット」や、そのデメリットを含めたうえでの「タブレット学習の効果的な使い方」についてお伝えしていきます。

タブレット学習のあまり知られていないデメリット

超一流の講師だからといって、すべての内容が理解できるようになるわけではない

私自身、家庭教師を始める前に、もう一度高校受験の内容を勉強し直したのですが、「参考書を読んでもわからない箇所」がありました。
そこで、
(そうだ!今はプロの授業がネットで見れるんだ。きっと動画を見ればわかるようになるはず!)
と思い、
・「スタディーサプリ」
・「家庭教師のトライの映像授業」
・「Youtubeに投稿されいる授業」
・「参考書についている動画授業」
など、超一流講師の授業を見ました。

しかし、それらの授業を見ても疑問は解決されなかったのです。

また、別の疑問に思った部分についても、授業動画をみて解決しようと思ったのですが、なかなかその部分についての授業を見つけることができませんでした。

結局、わからなかったところについては、ネットで検索したサイトを参考にしてたり、詳しい友達にラインで質問をして、解決しました。

そこで気づいたのですが、
「すごくわかりやすい授業だったとしても、わからないところもある」
「わからないところを説明している動画を探すのに時間がかかってします時もある」
「結局、わかる人に直接聞くのが一番確実だし、早い!」
ということです。

授業自体は、基本的には学校の先生や通常の塾の講師が行うよりもわかりやすく、質の高いものであるのは間違いありません。

ただし、その場合にも「わからないところ質問できる環境」は必要なのだと感じました。

紙とタブレットを見る場合では、脳の動きが変わる

とある学習塾で英単語を覚えるために、
・任天堂DSの単語学習ソフト
・紙のプリント
を使った学習させ、テストを行いました。

生徒のやる気はDSを使った生徒の方が明らかに高かったにもかかわらず、結果は紙のプリントを使った場合の方が成績が良かったそうです。

なぜこのような結果になったのでしょうか?

ひとつ考えられるのは、
「紙の方が、注意力が高い状態にある」
ということです。
「例えば、パソコンで入力して文章を見直しをしても間違いに気づかなかったのに、紙に印刷をして読み直してみると誤字脱字が見つかった」
といった経験ないでしょうか?

デジタル画面と紙媒体を比べると、「紙媒体の方が間違いに気づきやすい」という常識が、校正を行う方の間であるそうです。
そのため、メディア関連の仕事では文章のチェックを印刷してから行うそうです。

紙を見る場合には蛍光灯や太陽の光から反射した光で文字を見ます。
それに対して、パソコンやタブレットで文字を見る場合には、透過光という反射ではなく光源から出てくる直接の光で文字を見ることになります。

脳科学的には、この光の違いによって脳の動きが変わるといわれています。
パソコンやタブレットから直接くる光の時、脳は細部に向けての注意を細かく向けないモードになってしまうのです。
この違いにより、英単語のテストでは紙のプリントを使った方が成績が良くなったと考えられています。

自動丸つけ機能により、答え合わせの時間が奪われてしまう。

丸つけの重要性
の記事でも書いたのですが、丸つけと問題直し行う時にこそ、勉強の実力がつくのです。

当然のことですが、「できなかった問題ができるようになった時」にテストで点数が取れるようになります。

元々できている問題は、あまり重要な問題ではありません。
解けなかった問題を見つけ出し、解き方や必要な知識を身につけることが重要なのです。

丸つけを行って、意識的に「自分がどこで問題を間違えたのか」「どうしたら次からは解けるようになるのか」を考えることにより、印象に残り、テストでも解けるようになるのです。

しかし、自動で丸つけされてしまうことにより、時間を奪われてしまうのです。

自動丸つけ機能は一見すると、「丸つけをする手間を省いてくれる、効率のいいもの」だと思われるかもしれませんが、私からすると「実力がつきやすい貴重な時間を奪ってしまうもの」なのです。

次回は、タブレット学習のメリットとデメリットを考慮した上で、「どのようにタブレット学習を使うと、効率よく勉強ができるのか」についてお話します。

タブレット学習の効果的な使い方

高校の授業がわかりにくいため、その代用として使う

学校の授業の質は先生によって大きく違います。
授業がわかりやすい先生の場合に当たれば問題ないのですが、中には説明が理解力の高い子向けの説明をするタイプの先生や、テストに関係のない話がやたらと多い先生、シンプルに授業の話がわかりにくい先生もいるわけです。

その時には、学校の授業の代わりとして動画授業を活用しましょう。
動画授業に先生は一流の講師です。
学校の先生よりも、圧倒的に質の高い授業を受けることができます。

であれば、
「教わる授業→動画」
「学校の授業時間→自習の時間」
とした方が、効率よく勉強を進めることができます。
この時にひとつ注意が必要なのが、動画の授業がわかりやすくても、気になるところや問題演習をしている際にわからない部分は必ず出てくることです。
そのときに、自分で調べると時間がかかったり、解決しないケースもありますので、「わからないところを質問できる人」を必ず作っておきましょう。

また、これは高校生に限った話です。
中学生の内容は、高校の内容に比べて難易度がそこまで高くありません。
動画の授業を一から見るよりも、解説のわかりやすい参考書を自分で読んで勉強したり、わからないところを周りの友達や先生に聞く方が効率よく勉強を進めることができるでしょう。

小学生が勉強時間を確保するため

小学生の課題は、「そもそもの勉強時間の確保」だと考えています。
小学生は自分の意志で目標を持って、計画を立てて勉強することが難しいです。
そのため、周りの大人が勉強の内容や勉強時間の確保を手伝う必要があります。

言えばある程度勉強してくれる子や、なにも言わなくても学校の宿題をやってくれる子ならいいのですが、勉強が嫌いな子はそもそも机に向かって勉強させること自体が難しかったりします。

そのような子の場合、まずは勉強する習慣をつけるために、ドリルよりも抵抗の少ないタブレット学習を使うのは有効な手段です。
タブレットを使うというだけで興味を持ってくれたり、ゲームやクイズ感覚でできる勉強をすることができます。

ただ、タブレットだから「たくさん勉強してくれる」「コツコツ勉強を続けてくれる」といった期待はしないでください。
ゲームも、ずっとやっていると飽きてしまいやらなくなるように、タブレットを使った学習も遅かれ早かれ飽きられてしまいます。

ですので、あくまでも「学習習慣をつけるための導入」として使ったり、「普段はドリルをやらせつつ、たまに気分転換でタブレットでの学習を行う」といった位置づけで使うのいいのではないかと思います。

タブレット学習は今後どのように進化していくか

今までの機能がさらに改良される

タブレット学習の二大機能は「映像を使った授業」と「自動問題作成機能」です。

この二つのコンテンツはさらに充実していくでしょう。
映像授業で言えば、シンプルにその数や種類が増えていくはずです。
例えば、今も基本の内容や典型的な問題について解説している動画はかなり増えました。現在は、参考書売り場に置いている問題集にも解説動画のQRコードやURLが載っているほどです。

しかし、応用問題や志望校ごとの対策としての動画の数はまだまだ少ないです。
志望校対策の動画については、過去問を取り扱って解説することが必要があり、著作権の問題もあります。
また、オリジナルでその授業を考えるのも手間がかかりやすい分野です。
そのため、このあたりは、まだまだ予備校の授業でないとカバーできていない分野だと思います。
そういった動画も、youtubeで授業動画を作る方が増えていくにつれて、充実していくと思いますし、授業動画を配信する会社も有名な学校の対策講座のようなものが充実していくと予想されます。

問題出題機能についても、AIやソフトが進化していくにつれて、そのクオリティーはどんどん高くなります。
今はまだ、間違えた問題が繰り返し出題されたり、類題が出てくるといったところにとどまっていますが、これからはもっと細やかな分析が行われ、さらに最適化された問題を出してくれるようになるのです。
例えば、途中式を解析して、「この間違え方をする人は、次からここの部分を意識するようにしましょう」「計算問題3題→指定された関連授業動画→問題演習を行ってください。(目安時間25分)」というような、より具体的な指示と勉強の流れを提示してくれるようになるのではないかと考えられます。

質問すると、答えてくれるようになる

今のスマートフォンにも「今日の浦和区の天気は?」と話しかけると「今日の天気はくもり時々晴れの予想となっています」と自動で答えてくれる機能がついています。
現在も、言葉の意味を聞いたり、計算問題の答えを聞くレベルであれば音声で答えてくれます。

この機能がAIの進歩により、もっと個別具体的な内容にも答えてくれるようになるのではないかと思います。
例えば、問題文を読み上げると「答えと、途中の考え方」まで提示してくれるようになるでしょう。
また、さらにAIが進化した先には、「タブレットの中のキャラクターがまるで家庭教師の先生のように教えてくれる」といった可能性もあると思います。
(最初は、会話の内容が不自然だったり、「さあ、問題を解きましょう」といちいち問題に取り組ませるように無理やりな会話の流れになりそうですが。笑)

タブレットはあくまでもツール

タブレット学習は進化をし続け、質の高いものへと変わり続けます。
今よりも、もっともっと身近で勉強の役に立つ存在になっていくでしょう。

ただし、タブレット学習というのはあくまで勉強を補助してくれる道具であることに変わりはありません。

タブレットで見れる授業の質が高くなろうが、出題される問題がより良いもになろうが、結局は取り組む本人の姿勢があってこそ効果のあるものなのです。

映像で質の高い授業をする塾や予備校が成果を上がているかというと、そうではありません。
最新のタブレット学習をとりいれた学習塾の成果が上がっているかというと、それも違います。

私の知っている成果を上げている塾は、今でも
・宿題をやっていなければキツく叱られる
・塾に来て勉強することが義務になっている
・合格するまで再テストが何度でもある
そういった勉強せざるおえない環境を作っているものです。

勉強の成果は「勉強時間」と「勉強の質」です。
タブレットでの学習はあくまでも本人が工夫して使うことではじめて、勉強時間を増やしたり、勉強の質を高めることができるツールなのです。

タブレット学習を行う時には、そのことを忘れないでください。