埼玉県の公立高校と私立高校だと費用どれくらい違うのか?

塚田 悠太
プロ家庭教師
久喜中学校→浦和実業(特進コース)→明治大学(経営学部経営学科)

以前は大手家電量販店に勤務。パソコンが詳しくない人にもわかりやすい説明と丁寧な接客を続けた結果、販売コンテストでは最優秀賞受賞を受賞。

その後、学習塾の講師を経験。つまづきやすいポイントに絞った解説と、勉強方法の指導により、担当した中1、中2の数学のクラスで全員が定期テストの点数を上げる。
2019年に会社を辞め、プロ家庭教師として独立。さいたま市で「塾で伸びない中学生専門の家庭教師」として活動しています。

保護者の方々から、「私立高校と公立高校に行くのがいいか」という相談を受けることがあります。

私立高校と公立高校の大きな違いの一つに「費用の違い」がありますよね?

2013年以降は、埼玉県から世帯年収に応じて補助金が支給される仕組みとなり、2026年度からは国の政策により高校授業料の無償化が始まりました。

2013年に埼玉県からの補助金が出るまでは、「3年間で公立高校は約150万円、私立高校だと約300万円」と言われていましたが、現在は様変わりしています。

今回は授業料の補助金を含め、

「私立高校だと総額いくらなのか」
「公立高校だと総額いくらなのか」
「私立と公立だと3年間でいくら違うのか」

について、わかりやすく解説していきます。

目次

公立高校3年間の費用

公立高校3年間の費用は総額で約70万円です。

入学時にかかる費用

  • 入学金:5,650円

授業料

  • 0円 (無償化)

2013年度以前は、全世帯が年額:118,800円(月額9,900円)を支払う必要がある

2014年度~2025年度では、
「世帯年収が※1 約910万円以上の世帯は年額118,800円」
「世帯年収が約910万円未満の0円(無償化)」

2026年度以降は全世帯0円 (無償化)

と変わりました。

(※1 実際には住民税所得割額が50万7千円以下なのですが、その金額になる目安が、世帯収入で目安910万円になるということです。)

その他諸費用

初年度で約40万円程度、3年間で約70万円程度が必要となります。
あくまでも目安です。当然ですが、修学旅行先やタブレット代金、その他の費用も学校によって差があります。

費用項目金額の目安補足  支払い時期(目安)
制服・体操服代約9万円私立より点数が少なく、私立より指定品も少なめ3月中旬〜下旬
5,000~1万5,000円指定がある場合は入学前に用意3月中旬〜下旬
5,000~1万5,000円指定がある場合は入学前に用意3月中旬〜下旬
教科書・教材費2〜4万円教科書中心で、私立より追加教材が少ない傾向3月中旬〜下旬
諸会費・学校納付金約3万5,000円PTA会費・生徒会費など4月
通学費/月5,000〜1万円利用区間で差がある。徒歩・自転車ならかからないこともある4月初旬
隠れ出費約13~24万通学用の自転車/PC・タブレット/文房具/教科外活動費(部活動)/証明写真 など3~4月、入学後にかけて

私立高校の3年間の費用

私立高校3年間の費用は総額で約150万円です。

入学金

約22万円
→大半のの埼玉県の私立高校は20万円~25万円です。

入学金は埼玉県の補助金世帯年収によってあるため、変動します。

【年収約610万円以上の世帯】
→補助金なし。約22万円(20万円~25万円)

【年収約610万円未満】
→県からの補助金額:100,000円があるため、約12万円

授業料

年間約457,200円まで→無償化により0円(国からの補助金)
年間約457,200円超えた分→県からの補助金により、一定額まで免除される可能性あり。

→2026年度については、まだ決められていません。2025年から国の授業料の制度が変わってきているため、県側も合わせて補助について決めている段階です。

例:年間500,000円の場合、支払いは500,000-457,200=42,800円
→この42,800円に対して埼玉県が「いくらまで補助をするか」「年収の制限があるか」が2026年度分については未定。

2013年度以前は国や県からの補助なし

2014年度~2025年度では、世帯年収により、補助金額の違いが段階的に適応。

2026年度以降は授業料が高い私立高校を除き、全世帯0円 (無償化)

といった変化をしてきました。

参照サイト:https://saitamashigaku.com/pages/30

その他諸費用

3年間の授業料以外の学校教育費・・・平均130万円
(学校納付金、施設費、修学旅行・制服費、教材費など授業料以外の費用です。)

費用項目金額の目安補足支払い時期(目安)
制服・体操服約9万円デザイン性や指定品の多さから、公立より高くなる可能性あり2月下旬〜3月
5,000~1万5,000円入学前に用意する。同じく公立より高くなる可能性あり2月下旬〜3月
5,000~1万5,000円入学前に用意する。同じく公立より高くなる可能性あり2月下旬〜3月
教科書・教材費3〜5万円独自教材やICT教材が加わる学校もある2月下旬〜3月
諸会費・学校納付金約11万円施設費・行事費などの独自費用がある学校もある4月
通学費/月5,000〜1万円利用区間で差がある。3月下旬~4月初旬
隠れ出費約13~24万通学用の自転車/PC・タブレット/文房具等/教科外活動費(部活動など)/証明写真等3~4月、入学後にかけて

要注意!「県外(東京都など)」の私立高校へ進学する場合の学費

埼玉県、特に県南・県東地域(さいたま市、川口市、戸田市、越谷市など)にお住まいの方にとって、東京都内や千葉県などの私立高校は十分に通学圏内です。

しかし、「東京の私立に行けば、東京の無償化制度が使えるのでは?」と思っていると、予想以上の出費となる可能性があります。ここでは県外受験を検討する際に絶対に知っておくべきルールを解説します。

大原則:適用されるのは「住んでいる県」のルール

高校の授業料無償化(補助金)には、国の制度と都道府県独自の制度の2階建て構造になっています。ここで最も重要な大原則があります。

それは、「学校の所在地ではなく、保護者(生徒)が住んでいる都道府県の制度が適用される」ということです。

× 誤った認識: 「東京の私立高校に通うから、東京都の無償化ルールが適用される」
◯ 正しい認識: 「東京の私立高校に通っても、埼玉県の無償化ルールが適用される

助成金の「上限額」で自己負担が発生する(東京との学費差)

埼玉県の助成金は「埼玉県の私立高校の平均授業料」を基準に上限額が設定されています(2025年度見込みで年額約45万円程度まで)。

一方で、東京都内の私立高校は、埼玉県に比べて授業料が高額な傾向にあります。

埼玉県の私立平均授業料: 約45万円
東京都の私立平均授業料: 約49万円

もし授業料が60万円の都内私立高校に進学した場合、埼玉県の助成上限(約45万円)との差額である「約4万円」は毎年自己負担となる可能性があります。(先ほど記載した通り、2026年度においての補助金ルールについてはまだ決められていません。)
埼玉県のでも言えることですが、無償化だから完全にゼロになるわけではない点は注意が必要です。

大学受験を想定する場合、私立と公立どちらを選ぶべきか

私立高校では、「塾に通わなくとも、授業時間を多く確保、放課後の講習、毎日の小テスト、予習復習の課題、タブレットや動画配信の活用することにより、予備校や塾ないで難関大学へ合格できるカリキュラムを作っています」と、掲げる私立高校が以前より増えてきていると感じています。

近年では、浦和麗明高校や叡明高校、昌平高校など、学校側でハードな勉強のカリキュラムを組むことにより、進学校化を成功させている事例もあります。

サポート項目内容とメリット
放課後補習(講習)予備校講師や自校教員による受験対策。無料〜低額で受講可能。
自習室とチューター授業後や部活後、休みの日に使える、
わからないことが質問できる環境を整えている学校もあります。
ICT教材の活用スタディサプリ等の有料アプリを学校単位で管理。
長期休暇講習夏休み等に15日前後の講習。外部予備校の夏期講習が不要に。

私立高校の方が上記の体制を整えていること明記する私立高校が多くなっています。
(公立高校でもICT教育や放課後の講習は開かれています。)

高校授業料の無償化により、以前にも増して「塾や予備校の費用を考えると、公立高校ではなく私立高校へ進学する方がトータルコストは安くなるのでは?」と考える方がいらっしゃいます。


ここからは、大学受験を念頭に置く場合には私立高校と公立高校のどちらを選ぶかについて解説していきます。

高校生の塾・予備校代はいくらかかるのか

まずは現実的な費用の目安です。

  • 私立高校: 約150万円
  • 公立高校: 約70万円
  • 差額: 約80万円

この「80万円」という金額を、設備や手厚い学習サポートへの「投資」と捉えるか、それとも抑えるべき「コスト」と捉えるかが最初の分岐点になります。

「公立は安い、私立は高い」という図式は、授業料無償化によって崩れつつありますが、さらにその差を縮める(あるいは逆転させる)要因が「塾・予備校代」です。

予備校・塾の年間費用の平均相場

まず、一般的な「年間」の平均的な費用感(授業料+講習費等)を把握しておきましょう。

指導形態年間の費用目安特徴
大手予備校約70万〜120万円カリキュラムが確立されており、模試や情報が豊富。
少人数・個別指導約60万〜150万円密度が高い分、コマ数を増やすと高額になる傾向。
家庭教師約50万〜180万円時給制が一般的。プロ講師か学生講師かで大きく変動。

【通い始める時期別】3年間の累積コスト比較

【高3から】直前集中型

総額目安:約100万 〜 120万円

  • プランの特徴
    →学年になってから一気にスパートをかける、最も一般的なプランです。1年間で100万円以上の支出が集中するため、単年での家計負担は最も大きくなります。
  • 費用の内訳
    • 入学金
    • 通常授業料(主要3〜4科目)
    • 夏期講習・冬期講習
    • 直前講習
    • 公開模試代

【高2から】標準型

総額目安:約160万 〜 200万円

  • プランの特徴
    →苦手科目を早期に克服し、高3での学習負担を分散させるバランスの良いプランです。高2のうちに基礎を固めることで、高3で受講する「基礎講座」を減らし、トータルコストを抑える戦略も可能です。
  • 費用の内訳
    • 【高2】苦手な2科目程度に絞った受講
    • 【高3】全科目への拡大
    • 2年分の講習費・施設維持費

【高1から】早期対策型

総額目安:約220万 〜 280万円

  • プランの特徴
    →基礎からじっくり時間をかけ、第一志望合格率を最大限に高めるプランです。3年間の総額は大きくなりますが、早期の学力定着により「浪人リスク」を抑えられるという点では、効率的な投資とも言えます
  • 費用の内訳
    • 高1からの基礎固め・学習習慣定着
    • 3年間分の授業料(継続割引等が適用される場合あり)
    • 3年間分の施設維持費・諸経費

実際のシミュレーション

具体的にどのような支払いが発生するのか、4つの典型的なケースを見ていきましょう。

【ケースA:国公立・理系志望(大手予備校・高3から)】

国公立理系は共通テスト対策も含め、科目数が最も多くなります。

  • 志望先: 埼玉大学、千葉大学など
  • 利用: 河合塾、駿台予備学校などの大手
  • 科目数: 英・数・国・理2・社(共テ対策含む)
  • 費用内訳:
    • 入学金:30,000円
    • 授業料(年額):約850,000円
    • 季節講習費(夏・冬):約250,000円
  • 【合計】:約113万円

【ケースB:私立・文系志望(少人数指導・高2から)】

手厚い指導を求め、地域密着型の少人数予備校に通うケースです。

  • 志望先: MARCH(明治・青山・立教・中央・法政)
  • 利用: 少人数制の現役専門塾
  • 科目数: 英・国・社
  • 費用内訳:
    • 高2授業料(2科目):約450,000円
    • 高3授業料(3科目):約750,000円
    • 季節講習・合宿等:約350,000円(2年間分)
  • 【合計】:約155万円(2年間累計)

【ケースC:難関医学部志望(プロ家庭教師・高1から)】

圧倒的な学習量と個別最適化が必要な、最も高額なケースです。

  • 志望先: 私立医学部、難関国立医学部
  • 利用: 医学部専門プロ家庭教師(週2回〜)
  • 費用内訳:
    • 指導料(時給1.2万円×週4時間):年間約230万円
    • 学習管理・サポート費:年間約20万円
  • 【合計】:約750万円(3年間累計)

【ケースD:私立文系(映像授業予備校・高3から)】

自分のペースで進めたい生徒に多いパターンです。

  • 志望先: 日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修)
  • 利用: 東進ハイスクール、河合塾マナビスなど
  • 費用内訳:
    • 受講料(パッケージプラン):約800,000円
    • 担任指導費・模試費:約100,000円
    • 講習追加分:約150,000円
  • 【合計】:約105万円

これらの外部の予備校や塾の費用を考えると、私立高校でのサポートで受験対策が完結するのであれば、「公立高校+塾・予備校」より、私立高校の方が費用を抑えることができます。

私立高校生の通塾・家庭教師利用率

では、私立高校に通う生徒はどのくらいの割合で塾・予備校を利用しているのでしょうか?

 私立高校(全日制)に通う生徒のうち、学校外の教育費(学習塾費や家庭教師費)を支出している世帯の割合は以下の通りです。

学年利用率(塾・予備校・家庭教師等)
高校1年生約42%
高校2年生約48%
高校3年生約61%

私立高校では、3年生になると約6割の生徒が何らかの外部教育サービスを利用しています。意外かもしれませんが、「私立は手厚いから塾がいらない」というイメージがある一方で、難関大を目指す私立生ほど、学校の授業に加えて予備校を併用する「ダブルスクール」の状態にあることが伺えます。


なぜ「手厚い」はずの私立生が塾に通うのか

① 学校の進度についていくための「補習塾」

私立進学校は授業スピードが非常に速いため、一度つまずくと自力でのリカバリーが困難です。そのため、学校の成績を維持し、「指定校推薦」を確実にするために塾を利用する層が一定数います。

② 志望校に特化した「予備校」

学校は「共通テスト」や「一般的な受験対策」には強いですが、「早稲田の英語」や「医学部数学」といった超難関・特殊な傾向を持つ大学の対策については、専門のノウハウを持つ予備校が選ばれる傾向にあります。

③ 学習環境(自習室)の確保

私立高校にも自習室はありますが、夜遅くまで開いている予備校や、自宅に先生が来る家庭教師の方が、学習リズムを作りやすいと考える家庭も多いです。

重要:塾なしを掲げる私立高校を選ぶ注意点

私立進学校の「手厚さ」と「リスク」

埼玉県内の進学校(栄東、淑徳与野、大宮開成、浦和麗明など)の多くは、「学校の課題と小テストを完璧にこなせば、塾なしでも難関大を目指せる」というカリキュラムを組んでいます。

私立のメリット:レールに乗れば強い

  • 学習の強制力: 毎日の小テストや定期的な講習など、勉強せざるを得ない環境が整っている。
  • 進学実績の伸び: 近年、こうした手厚い指導を行う学校の合格実績は著しく伸びています。

注意点:ついていけなくなった時の負担

一方で、「ギリギリの成績で合格した」「部活動が非常に忙しい」という場合、学校の課題の多さが逆に苦痛になるリスクもあります。勉強が嫌いになってしまうと、この「手厚いレール」は途端に厳しいものに変わります。

公立・中堅校のメリット:自分のペースと「基礎」の重要性

「公立高校」や「マンモス私立の普通コース」などの場合、私立の特進クラスほど勉強を強制されない傾向にあります。これは一見デメリットに見えますが、実は大きなメリットにもなり得ます。

  • 自分のペースで進められる: 基礎が抜けている場合、学校のハイペースな授業に追われるより、中3の内容を復習する時間を自分で作る方が、結果的に学力が伸びるケースがあります。
  • 基礎重視の授業: 偏差値55前後の学校では、授業の難易度が基礎に置かれていることが多く、一歩ずつ着実に積み重ねたいタイプには向いています。

重要:「周りの当たり前」という環境は大きい

高校選びで最後に注目してほしいのが、「周囲の生徒の志望進路」です。

  • 進学校の環境: 「大学受験は当たり前」「浪人してでも難関校を目指す」という空気が流れています。流されやすいタイプの子ほど、こうした環境に身を置くことで自然と勉強する習慣がつきます。
  • 多様な進路の環境: 専門学校や就職など、進路が多岐にわたる学校では、強い意志がないと周りの「勉強しない雰囲気」に流されてしまう可能性があります。

特に、内申点が低くて公立の志望校を下げざるを得ない場合などは、「周りのレベル(進学意欲)」を考慮して、あえて私立の特進コースを選ぶというのも戦略の一つです。

【参照サイト】

https://bestjuku.com/shingaku/s-article/40548/

https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/mext_01667.html

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