家庭教師の体験授業を行ったのは中学3年生の6月。
そこでお母さんから聞いたのは、こういった内容でした。
半年経って上がらないどころか、さらに下がってしまいまして。
今回の定期テストの点数が9点でした。」
「講師が正社員なので、アルバイト講師が教えている他の塾よりも質の高い指導をしていますし、より強く責任を持って指導していますと言われて、入塾したのですが・・・」
「塾長との三者面談に行ってきたのですが、なんで点数が上がらないのかわからないといった様子でして・・・」
実際に教えてみることに。
数学は積み重ねが非常に大切な科目です。
そのため、どこからつまずいているのかを確認していったところ、小学校のときに習う「小数、分数」の計算のところからあやしい状態で、中1の最初からもうすでにわからなくなっていたのでした。
中1と中2の基礎計算ができなくては、中3の問題は解くことができません。
塾では中3のカリキュラムを進めていくので、いくら授業を聞いてもできるようにはならないのです。
今回は、塾の「指導」が悪いのではなく、「システム」が悪いのです。
その部分をちゃんと見抜いて、中1から振り返って指導する体制が整っている塾はかなり少ないのが現状です。
1学期期末テストは、残り1ヵ月後。
まずは、暗記をすることで点数に繋がりやすい「社会」と、積み重ねが比較的少なく、テスト範囲の箇所をしっかり教えれば点数が取れるようになる「理科」の2科目で点数を上げることにしました。
(まずは、「勉強したら、点数が取れるんだ」という経験をしてもらう狙いもありました。)
1ヵ月、部活や修学旅行など忙しい中でも勉強を頑張ってくれたため、理科と社会は20点づつ点数が上がりました。
ひとまず、良いスタートがきれました。
Mさんには、将来なりたい職業がありました。
その職業に就くためには大学に行った方が良いため、大学進学になるべく適した高校選びをすることに。
・家から遠すぎないこと
・1,2年生の時の内申点からでも、本番の成績で逆転合格が可能な点数配分の学校
これらを考慮した結果、偏差値50の公立高校を第一志望にしました。
今の偏差値は41。1、2年生の頃の内申点が低いことも考慮すると、偏差値53ほど取っていきたいところです。
夏の間は、数学と英語の基礎を徹底的にやり直すことに重点を置いて指導しました。
2学期になると、苦手だった数学も授業の内容がわかるようになるように。
「応用問題はやらなくていい」
「とにかく基礎の解ける問題を繰り返して、ミスなく解けるようにする」
この作戦がうまくハマり、短い時間で最低限必要な知識をつけていくことができました。
さらに、授業中に手を挙げるようにもなりました。
(今まで挙手をしない子でも、授業がわかると手を上げるようになることがよくあります。人前で発表することはその子の自信にもつながるはずです)
定期テストの点数も5教科で100点上がっていました。
とはいえ、目標の高校に合格するためにはまだまだ点数が足りません。
さらに、スタートが遅く中1、中2の勉強が頭に入っていないため、11月の北辰テストは偏差値45。思ったほど点数を伸ばすことができませんでした。
そのため中学校の先生との3者面談では、
「合格は難しいかもしれないから、他の高校の受験も考え直してみたら?」
と言われてしまう始末。
受験まで残り3ヵ月。
「北辰の偏差値はまだ全然足りてない。でも、今までと違って、もう少し勉強すれば点数取れそうな問題がたくさんあったよね?」
「基礎が固まってきた今からが、Mさんの場合には一番成績が伸びる時期なんだ。入試は、本番で合格する点数さえ取れれば合格だから。3カ月後にその点数が取れるようになるよ。」
「12月からは、学校の休みの日も多くなるから、やる気次第で勉強時間も確保できる。悔いなくやれることやってこう!!」
「『絶対に受かる!』って成績までいくかは正直わからないけど、『これなら受かるかもしれない!』って成績は全然いける。公立高校の願書を出すのは2月中旬だから、受ける高校変えるにはまだ早いよ!」
そう伝えました。
1月の私立高校の入試。
確約をもらっていた高校と、チャレンジで確約をもらっていない高校の2校を受験しました。
結果は2校とも合格。実力もあきらかに伸びていました。
そして、迎えた公立高校の入試本番。
見事、第一志望だった高校に合格することができました。
最後まであきらめずに挑んだからこそ掴んだ合格だと思います。
高校に入ってからは、
「ギリギリで合格してるので、勉強大変です」
「でも、数学は平均点を取ってます!」
と報告してくれました。