指導の依頼を受けたのは1年生から2年生になるタイミングで指導をスタートさせました。
「中学校で校長先生をしていた方が家庭教師の先生として来てもらっていました。英語の指導は、とにかく繰り返し単語を書かせて身につけるという指導でしたが、あまり身に付いていないようでした。」
「以前通っていた塾でも、英語の指導を受けていたのですが、できるようにならず、先生からは『学習障害の兆候がある』と言われました。」
実際に勉強を教えてみると、ローマ字の時点でつまずいていることに。
これでは英単語を覚えるのはかなり大変だったと思います。英語はローマ字からやり直すことに決定。
英単語を覚えることが苦手な場合には、まず確認するのは、「ローマ字の読み書きができるか」です。ローマ字がわからずに単語を覚えるのはすごく難しくなってしまいます。
数学の計算や規則性を見抜いていく能力は高かったです。
また、暗記するのは好きではないものの、すごく苦手な様子には見えませんでした。
(いや、学習障害の兆候とか全くないと思うけどな・・・
正しいやり方を教えてもらっていないだけで、何も問題ないでしょ・・・)
そう感じました。
「ローマ字を身につけるために、普段のスマホをローマ字入力に変えよう。机に向かって時間かけて覚えるより、楽でしょ?」
「英単語は覚える前に、観察する。例えば、『mother』と『father』ってなんか似てない?そう、『ther』 の部分が一緒なんだ。他にも『brother』 も『together』 にも『ther』
が付く。」
「ということは、『mo』『fa』『bro』『toge』を覚えてしまえば、あとは『ther』をくっつければ書けるようになるんだ!他にもいろんな規則性があるから、パズルみたいに見つけながらやる少し楽しめるし、覚えやすくもなるんだ!」
S君の「スマホやタブレットをよく使う事」「規則性を考えてることが得意なこと」を生かして、そう伝えました。
【指導をはじめて4カ月】
単語を覚える感覚を掴んだ様子で、着実に基本的な英単語のスペルを覚えていきました。
英語に力を入れて学習をしていたこともあり、1学期の期末テストで英語は平均点を超えることができました。
長期的にコツコツと勉強をすることは苦手で、勉強をやる時とやらない時にムラがある特性がありました。
こういった特性は一見短所のように見えるかもしれませんが、裏を返せば「テスト前など、やる時にやる」という長所があるということでもあります。
そのため、「学校の定期テスト」「学校の模試」「英語検定」「数学検定」「北辰テスト」など、勉強する機会を作るようにしました。
モチベーション高く取り組む時期を複数回つくることにより、結果として勉強する時間を確保することができるわけです。
(この方法が合うかどうかは、生徒によって違います。人によっては何度もテストがある方が意欲をなくす子もいます。S君の場合には、テスト直前に追い込まれると、一気に勉強する特徴がありました。)
目標の高校への勉強
目標としているのは、私立高校でした。
例年であれば3年1学期の内申点がオール4以上取れていれば、確約をとることができていました。
そのため、「3年の1学期の定期テストで点数を取ること」=「志望校の合格」という状況だったため、とにかく定期テストへと力を入れて取り組みました。
その結果、3年1学期の通知表はオール4以上の目標に対し、少し余裕をもってクリア。
(よし、これならひとまず確約をとることはできそう!)
そう思っていました。
しかし、この年から倍率が上昇。
「確約の基準が内申点+北辰テストで62以上を2回取る」という基準へと大きな変更がありました。
説明会でそのことが明かされたのは9月。
どんなに遅くとも11月と12月の2回でその成績を上げる必要があるわけです。
北辰テストの成績も上がってはいたものの、2カ月後にその成績を出すのは厳しい状態でした。
埼玉県の私立入試は確約を持っているかで決まることが多く、一般入試での合格者は何名出すかはわからない高校がほとんど。
受験する高校も、一般入試での合格者が何名出るかもわからないわけです。
とはいえ、可能性があるとしたら一般入試。
本番のテストで点数を取って合格を勝ち取るしかありません。
・必ず出題される英作文や数学の記述形式の問題で確実に点数を取れるようにする
・苦手な国語は最低限取れればOK。得意な数学で高得点を狙う
過去問題の出題傾向を分析し、とにかくその高校の入試問題で点数をとることだけに勉強内容は絞りました。
合格発表の日。
本人から「電話で伝えたいので、今大丈夫ですか?」とラインが来ました。
すぐに電話をすると、「合格した!!受かった!受かったああああああ!!!」とずっと叫んでいました。笑
私としても、合格したことはもちろん、電話で直接報告してくれて、喜んでいる様子を聞くことができたのもすごく嬉しかったです。