「うちの子、定期テストは良かったのになんで通知表が低いの?」
「1学期が3で、2学期が4だったら、入試に関わる学年評定はどうなるの?」
「通知表で良い評価を得るには、先生に気に入られるかも大事なの?」
中学校の通知表に対して、このような疑問やモヤモヤを抱えている保護者は非常に多いのではないでしょうか。
高校入試の合否を大きく左右する「内申点」。実は、その元となる通知表の評定(1〜5)の決め方は、全国一律ではなく、学校や先生によって驚くほど異なるのが実態です。観点別評価(A・B・C)の組み合わせだけで機械的に決める学校もあれば、定期テストの点数を最重視して後から観点別評価の辻褄を合わせる先生もいます。
本記事では、公の資料だけでは見えてこない「内申点の決め方」や「学年評定が決まる裏舞台」、そして「戦略的に内申点を上げるための現実的なテクニック」まで、現場のリアルな事例を交えて徹底解説します!
通知表に関する用語の整理
はじめに、通知表に関しては紛らわしい言葉も多くあるため、基本事項を整理しておきます。
| 観点別評価 | 科目ごとに設定された観点別のABCの評価 |
| 評定 | 学期ごとの1~5(もしくは1~10)の評価 |
| 内申点 | 評定を計算式に基づいて合計した点数 |
| 学年評定 | 学年ごとの1~5(もしくは1~10)の評価 |
| 内申書(=調査書) | 各学年の評定、特別活動の記録、出欠の記録など記載された入試に利用するもの |
| 通知表 | 各学年の評定、特別活動の記録、出欠の記録など記載された、生徒と保護者への報告書 |
内申点の「評定を計算式に基づいて合計した点数」についてですが、
成績:オール3(学年評定の合計27)
選抜基準:学年評定を1年:2年:3年を1:1:2で点数化
上記の場合には、内申点が27+27+54=108となります。
※内申点を上げる=評定を上げると考えてしまって大丈夫です。
学期ごとの観点別評価の付け方
観点別評価のABCの組み合わせで評定をどうするかは、基本的にはその学校によって変わります。
学校ごとの決め方のパターンをいくつかの例を挙げてみます。
【学校➀:ABCの組み合わせのみで評定を決める】

【学校②:3観点の比重を変え、その得点により評定を決める】

【学校③:ABCの組み合わせにより、ある程度評定を決める】

他にも決め方のパターンがありますが、9割以上はこのうちのどれかのパターンで決めていると予想されます。
観点別評価のABCの組み合わせと評定について「年度初めにプリントを配る学校」「授業中に生徒に伝えている学校」「特に公表しない学校」と学校によって対応にも違いがあります。
学年評定の決め方(3学期制のケース)
次に学年評定の決め方についてです。
こちらも基本的には学校によって、異なります。
いくつかパターンを見ていきましょう。
【学校➀:観点評価別で1学期2学期3学期の平均で決める】
| 観点別 | 1学期 | 2学期 | 3学期 | 学年 |
| 知識 技能 | A | B | A | A |
| 思考 判断 | B | B | A | B |
| 主体的態度 | B | A | A | A |
学年の「ABA」を元に、評定を判断します。
「ABA」に対してどの評定をつけるかは、先ほど紹介したとおり、学校によって異なります。
【学校②:それぞれの学期の評定の平均で決める】
| 1学期 | 2学期 | 3学期 | 平均 | 3年評定 |
| 3 | 4 | 4 | 3.6 | 4 |
| 3 | 3 | 5 | 3.6 | 4 |
| 2 | 3 | 5 | 3.3 | 3 |
| 4 | 3 | 3 | 3.3 | 3 |
| 2 | 2 | 4 | 2.6 | 3 |
1~3学期の平均を四捨五入。(例:4.3→4 2.6→3)
他にも
「3学期の定期テストは『学年末テスト』として3年全体で問題を出すので、3学期の比重を高めて学年末評定を決める」
「学期ごとの詳細な観点別評価(「BよりのA(ギリギリA)」「BよりのC(ギリギリC)」など)を参考にして判断する」
こういった付け方もあります。
私の経験上では、例で挙げた学校➀と②どちらかで学年評定を決める学校が多いように思います。
埼玉県のホームページでも付け方の例を提示はしていますが、あくまでも例であるため、ここで紹介していない付け方をする学校もあると思われます。
【引用】
埼玉県ホームページ:https://www.pref.saitama.lg.jp/f2214/sidouhyoukasiryou/r3sidouhyoukasiryou.html
高校入試で使う(内申書に記載する)3年生の評定
ここで問題となってくるのは、
高校入試で使う(内申書に記載する)評定は、3学期が終わる前に入試があるため1学期と2学期のから判断することになります。
3学期制では、
「3,3,4なら3だな」
「AABならAだな」
と必ず評価の偏りが出ます。
しかし、2学期で判断するとなると、
「評定が1学期3で2学期4の場合3になる?4になる?」
「知識技能が1学期Aで2学期Bの場合はAになる?Bになる?」
こういった疑問が生じます。
こちらも学校によって評定の付け方は異なり、主に二つのパターンにがあります。
【学校➀1学期と2学期の評定平均を四捨五入で考える】
| 1学期 | 2学期 | 平均 | 3年評定 | |
| 英語 | 3 | 4 | 3.5 | 4 |
| 数学 | 3 | 4 | 3.5 | 4 |
| 国語 | 4 | 5 | 4.5 | 5 |
| 理科 | 2 | 5 | 3.5 | 4 |
| 社会 | 4 | 3 | 3.5 | 4 |
四捨五入ですので、良い数字の方が採用となります。
この場合、定期テストの点数が「1学期平均45点でなんとか3」「2学期平均75点でなんとか4」という場合でも、3年の評定は「4」となります。
※以下の形式で書かれた内申書(調査書)を見るため、学期ごとの成績は高校側は基本的に見ることはありません。

【学校②1学期と2学期を観点別評価を総合的につけ、評定を決める】
| 1学期 | 2学期 | 学年 | |
| 関心意欲 | A | B | A |
| 思考判断 | B | B | B |
| 知識理解 | A | A | A |
| 評定 | 4 | 3 | 4 |
→この科目の内申書に書かれる評定は「4」
| 1学期 | 2学期 | 学年 | |
| 関心意欲 | A | B | B |
| 思考判断 | B | B | B |
| 知識理解 | B | A | A |
| 評定 | 4 | 3 | 3 |
→この科目の内申書に書かれる評定は「3」
1学期と2学期で3と4が並んだ時に「4」となることもありますし、「3」となることもあります。
この場合には、「1学期A、2学期B→3年の内申書B」のような表記になります。
ただし、私が見て中でも、3と4の場合には、学年評定は4になる可能性が高いです。
理由としては2つあります。
1つ目は、「学校側としても、自分の中学校の生徒が高校へ合格してほしいから」です。
うちの中学から、「○○高校へ何名今年は合格した!」と学校側も高校の合格実績を気にします。
高校入試では3年生の学年評定は重要であり、内申書が悪いとその分合格はしずらくなります。
2つ目は、「親からのクレームが発生するから」です。
なんで、友達のAさんは通知表が「4→3」で「学年4」なのに、うちは「4→3」で「学年3」なんだ!
と電話問い合わせが来る可能性が高くなります。
内申点は高校の合否に影響するため、親御さんも真剣です。
学校側としても、様々な業務がある中で、内申点に関しての説明をするために労力を使いたくないという側面もあります。
ここからは裏話となりますが、友人が務めている中学校では、「1学期3→2学期4で学年3とする場合には、校長の許可が必要」と言っていました。
明確な理由がある場合のみつけれるようにすることで、トラブルを防ぐ体制とっているようです。
他の中学校も同じ体制の中学校多いのではないか?と話していました。
評定は後付けで変わってくることもある
「観点別評価の組み合わせで評定を決めているのでだから、観点別で評価を上げるように考えて行動すれば良いのだな」
「埼玉県の公表している評定の付け方」と「学校が公表している評定の付け方」を見ていると、そう思うかもしれません。
しかし、必ずしも「公表されている評定の付け方」と「現場の先生の評定の付け方」が同じとは限りません。
ここでは、「評定が観点別評価とは別の理由で決まり、後付けでABCが調整される例」を紹介します。

※学校側での成績の付け方が上記の表の通りの事例です。
ケース➀:CCCだけど、評定1は付けられない
学校には毎日来ているけど、授業中に寝ているときもあるし、テストの点数は毎回一桁。提出物も出していなかったり、終わっていないままになっている。テストの点数も毎回一桁観点別評価としては、すべてCが妥当。
このような生徒の生徒の成績を付けようとしたとき、上の表に照らし合わせると、評定は1となります。
ですが、学校側のもう一つの方針として、
評定1は「点数出席日数が足りない場合」もしくは「よほど態度に問題がある場合」以外にはつけない。
という方針が学校側にありました。
このような場合に担当の先生はどのように評価をつけるかというと、
「観点別評価で『関心意欲態度』だけはBってことにして、評定は2にしよう」
となり、通知表には「BCCで評定2」をつけます。
ケース②:定期テストは55点だけど他は申し分ない。
・Bさんの定期テストの点数は55点。
・知識理解を問う問題は「70点中30点」、思考判断を問う問題は「30点中25点」。
・いつも挙手しているし、授業態度は申し分ない
・提出物のワークやノートの完璧にやっている。
この生徒の場合には、「関心意欲態度→A」「思考判断→A」「知識理解→B」となり、「AABの評定4」となるはずです。
しかし、担当の先生は「定期テストの点数が評価基準で重きを置く。55点で評定4はつけない。」と考えているとしましょう。
この場合には、「関心意欲態度→A」「思考判断→B」「知識理解→B」にして、「ABBの評定3」をつけます。
(生徒や保護者に説明を求められた場合には、定期テストが平均点以下の場合には評定4は付けていません。観点別の評価は、総合的に見て柔軟に評価します。と説明するそうです。)
ケース③:授業態度は良いとは言えず、提出物は平均的。テストは98点
・定期テストの点数は98点。進学塾に通い、都内の最難関校を狙っているらしい。
・授業中に発言することはなく、眠そうにウトウトしていることもしばしば。授業中に塾の宿題を進めている姿を見て、注意したこともある。
・提出物のワークやノートは可もなく不可もなく、提出はしているといったところ。
この生徒の場合には、観点別評価を一般的ば感覚でつけるとすると「関心意欲態度→B」「思考判断→A」「知識理解→A」となるでしょう。(先生よっては関心意欲態度はCもつくでしょう。)
ですが、担当の先生が「定期テストの点数が評価基準で重きを置く。授業中の態度は良いものではないが、98点なので意欲と関心は十分いあるはずだ。」ということで、オールAの評定5をつけることもあります。
学校側で観点別の評価と評定の関係を明示している場合にも、成績をつける先生は、辻褄を合わせのために観点別評価を調整することはあります。
もはや観点別評価の意味ないだろ・・・。と個人的には思ってしまいますが。
ケース④ 主観重視で評定を変えてしまう先生
ケース④については、例外的な事例です。
テストの比重が低い、実技教科で見かける傾向があります。
体育で体力測定もA判定だし、定期テスト82点で、授業もしっかり受けたつもり。授業の感想も毎回長めに書いているのに評定「3」だった。クラスの人で、テスト平均点以下で授業中ふざけてるのに、先生と楽しく話している子は「5」だった。定期テストの学年順位2位で、体育はテスト100点だったけど、「3」だったらしく、通知表が体育以外オール5なのにかわいそう。
美術の先生が1クラス38人のうち、8人に「1」を付けてた。
「授業態度が悪く、作品を期限までに提出しなかった」っていう理由らしいけど、授業ふつうに受けてて体調不良で提出間に合わなかった子もいたみたい。さすがに抗議の連絡がたくさん来てるらしい。
理科のテストが37点だけど、評定4がついている。提出物や授業態度は同じはずなんだけど、友達はテストで78点だけど3だった。去年、たまたまわからない箇所を先生に聞きに行って、しっかりお礼いったら気に入られて声かけられるようになったから、その名残なのかな・・・。
生徒から聞いた話としては、これらが印象的でした。
こういった先生は、学校の中に何人かいるんじゃないかと思います。
社会に出ても、好き嫌いで人や物事を判断する人は当然います。そういう性格の人が先生になったと考えると、自然なことな気もします。
(そもそも、主体的態度や表現力を評価するときに、主観を完全に排除するのは不可能だと思いますし。)
私自身も中学の時に、社会が定期テストでクラス2位の成績を取って、その授業では積極的に手を挙げて発言していましたが、評定3だった経験があります(笑)
私の妻も美大を卒業していますが、美術の評定3だったそうです。
定期テストの点数である程度の評定は決まる
定期テストの点数によって、ある程度予測することができます。
これまで見てきた中で、授業態度や提出物が人並にできている場合には下記のような評定となる傾向にあります。
| 定期テスト | 評定 |
| 85点~100点 | 5 |
| 75点~84点 | 4 |
| 45点~74点 | 3 |
| 0点~44点 | 2 |
※1は点数が悪くても、授業を受け、提出物を出していれば1にはなりません。
出席日数が足りないorよほど態度に問題がある場合には1がつきます。
※これはあくまでも目安です。平均点によっても変わりますし、先生や学校によっても当然変わってきます。
学年評定を上げるテクニック
上げやすい教科に絞って定期テストの点数を取りに行く
先ほど紹介したように、定期テストの点数によってある程度評定が決まってくる傾向があります。
ここでは、AさんとBさんの成績を見てください。
【Aさんの成績】
| 定期テスト | 評定 | |
| 英語 | 50点 | 3 |
| 数学 | 50点 | 3 |
| 国語 | 50点 | 3 |
| 理科 | 75点 | 4 |
| 社会 | 90点 | 5 |
| 5教科 | 315点 | 18 |
【Bさんの成績】
| 定期テスト | 評定 | |
| 英語 | 65点 | 3 |
| 数学 | 65点 | 3 |
| 国語 | 65点 | 3 |
| 理科 | 65点 | 3 |
| 社会 | 65点 | 3 |
| 5教科 | 330点 | 15 |
合計点はAさんの方が高いにも関わらず、Bさんの方が内申点は3ポイント高くなります。
5教科の学年順位を上げることが目的であれば、Aさんが良い結果と言えるでしょう。
しかし、高校受験での合格のために内申点を上げることが目的であれば、点数の割りに良い結果とは言えません。
「英数国は、頑張って勉強しても70点がいいところかもしれない。時間かければ、理科は80点、社会は90点取れる」と予測がつくケースであれば、Bさんのような点数の取り方を目指すべきです。
評定を変えてもらえることはあるのか?
ほぼ0%です。学校もよほどのことがなければ変えることはありません。
それこそ、「言いに行ったら変わった」と噂が広まれば、他の保護者からも抗議の連絡が増えてしまいます。
ただ、1学期の評定について先生に問い合わせることで、2学期の評定を上げやすくなる可能性ならあります。
理由は2つあります。
1つ目は、聞いてみることで評定を上げるために適切なアプローチができる可能性が上がるからです。
「今回、定期テストが90点で評定が4だったのでした。提出物も出していましたし、授業中も手を上げて発言をしています。どのようにすれば、次の2学期ではどうのようにすれば5になるか、教えてください。」
と聞いたとしましょう。
そこで担当の先生から、
「定期テストの知識理解に該当する箇所の点数は満点でした。しかし、思考判断の点数が30点中20点であり、この部分が24点以上取ることで、思考判断もAとなり5をつけることができます。」
と返答をもらったとします。
すると、「次回知識理解で満点を狙うより、記述や読み取りの勉強に比重を置く方が評定はよくなる」と気づくことができます。
聞いてみなければわからないこともあります。原因を知ることができれば、改善もしやすくなるでしょう。
2つ目は、先生自身も保護者対応に時間をかけたくはないからです。
これまでお伝えしてきたように、先生や学校によって成績の付け方は様々です。
教師側にとっても、どこかで成績をつける基準を設けなければならない以上、通知表の付け方でボーダーラインのギリギリとなる生徒は必ず出てきます。
また、授業態度や提出物はテストの点数と違い、主観を一切排除することは不可能であり、解釈の余地があります。
中学で教員をしている友人から聞きましたが、
「迷ったけど、4ではなく3をつけた生徒がいた。その保護者から電話が来た。もちろん、説明できる状態で公平につけたし、しっかりと理由を答えた。とはいえ、次も全く同じような状態で3つけるとしたら、間違いなく揉めごとになる。であれば、不公平にならないようにボーダーラインごと少し変えて、4をつけると思う。」と言っていました。
成績をつける先生も教師である前に、ひとりの人間です。
クレーム対応も極力したくないのは本音としてあるでしょう。
どうしても評定に対して納得いかない場合には、「次回に向けて、より良い姿勢で勉強や授業に励むためにも、改善点を教えてほしい」という、前向きなスタンスで聞いてみるのはありだと私は考えています。
※言うまでもなく、「あわよくばよくなるかな?」と思って問い合わせるの迷惑行為ですので辞めましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は、中学校の内申点にまつわる「学校や先生による評価のリアルな違い」についてお届けしました。
「テストの点数は良いのに評価が低い」「先生の好き嫌いで決められている気がする」といった悩みは、実は多くの中学生とその保護者が直面している問題です。記事の中でご紹介した通り、現場の先生方も人間であり、稀に主観による調整が入ってしまうことはあります。
とはいえ、私の主観としては10人中9人の先生は、極力公平につけていると感じています。
だからこそ、親御さんにお願いしたいのは「感情的にならず、制度を冷静にハックする」ということです。
内申点に一喜一憂しすぎると、受験期に親子で疲弊してしまいます。
まずは「仕組みはこうなっているんだな」と大枠を捉え、本記事のテクニックを役立てていただければ幸いです。